今日の診療
治療指針

睡眠時無呼吸症候群
sleep apnea syndrome(SAS)
小賀 徹
(川崎医科大学主任教授・呼吸器内科学)

頻度 よくみる

GL睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

治療のポイント

・中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の第1選択治療は持続気道陽圧(CPAP)療法である.CPAP基準を満たさないOSAやCPAP不耐の場合,口腔内装置(OA)の適応である.

・肥満があれば減量指導,生活習慣や睡眠衛生改善も重要である.

・中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の代表であるチェーン-ストークス呼吸(CSB)において,CPAPでコントロール不良の場合,酸素療法や順応性自動制御換気(ASV)も検討される.

◆病態と診断

A病態

・睡眠時無呼吸は,睡眠中に呼吸努力を伴う閉塞性睡眠時無呼吸(OSA:obstructive sleep apnea)と呼吸努力を伴わない中枢性睡眠時無呼吸(CSA:central sleep apnea)に大別され,多くはOSAでいびきを伴う.CSAの代表は心不全や脳卒中などに伴うチェーン-ストークス呼吸(CSB:Cheyne-Stokes breathing)である.

・OSAでは,睡眠中に上気道が完全閉塞した場合に無呼吸となり,不完全に閉塞した場合低呼吸となる.肥満は重大な危険因子であるが,必ずしも肥満を伴わない場合も多く,加齢や小顎,短頸など顎顔面形態も関連する.

・OSAにおける無呼吸・低呼吸は,間欠的低酸素,睡眠の分断と覚醒を介して酸化ストレス,炎症,交感神経を活性化して,生体にさまざまな影響を与え,例えば高血圧や糖尿病の危険因子となる.

B診断

・OSAを疑う症状としては,いびきのほか,日中の眠気や疲労感,睡眠中の窒息感,夜間頻尿や口渇,不眠,起床時頭痛,慢性咳など多彩であるが,特異的ではなく,診断の根拠にはならない.CSAはそもそも症状に乏しく,なおさらである.

・高血圧,心房細動,冠動脈疾患,糖尿病,脳卒中などの併存症がOSAを疑う根拠となる.CSAでも,心不全,

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?