今日の診療
治療指針

気胸
pneumothorax
栗原正利
(日産厚生会玉川病院・気胸研究センター長(東京))

頻度 情報なし

ニュートピックス

・Birt-Hogg-Dubé症候群とよばれる常染色体優性遺伝疾患が注目されている.皮膚疾患,腎腫瘍,びまん性肺嚢胞による気胸が主な症状である.胸部CT検査による肺嚢胞の分布・形状の確認が診断に有効である.

治療のポイント

・気胸では,原因を探し病態に応じた治療法を選択する.

・初期治療と根治的治療に分けられる.

・安易な胸膜癒着療法は極力避けるべきである.

◆病態と診断

A病態

・「自然気胸」とは,臓側胸膜に何らかの原因で穴があき,空気が胸腔内に流入して虚脱状態になり,胸痛や呼吸困難を起こす疾患全体を指す.病名ではなく病態を表す用語である.

・原因となる疾患には原発性自然気胸と続発性自然気胸がある.

・原発性自然気胸は,ブラまたはブレブと呼ばれる肺嚢胞が原因で起こる気胸である.

・続発性自然気胸は,さまざまな基礎疾患(肺気腫,間質性肺炎,腫瘍,胸部外傷,感染症,びまん性肺疾患,放射線による肺臓炎,その他)が肺を破壊して起こる気胸である.

B診断

胸部X線検査が有効である.正面撮影が有効で側面撮影では気胸を診断できないことが多い.

胸部CT検査は胸部X線検査では検出不能な微小な気胸を診断できると同時に,続発性気胸の原因疾患の診断に有効である.原因疾患の質的診断には水平断よりも冠状断による診断が有効である.すなわち肺嚢胞の形状や分布および肺尖部の嚢胞の検索には有効である.

胸腔造影は気漏部位の診断をする唯一の方法である.気漏部位の診断は治療方針を決めるうえで重要な情報である.手術が可能か,保存的治療でよいか,それともinterventionalな治療が必要かなどの判断が可能である.

◆治療方針

A初期治療

 初期治療とは虚脱した肺を膨張させ,元の肺の大きさにする治療である.安静や穿刺脱気で経過観察するが,中等度以上の気胸では胸腔ドレナージが必要となる.現在は携帯用の外来ドレ

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