ニュートピックス
・COVID-19で人工呼吸管理を行った症例で,縦隔気腫の発症が多かったとの報告がある.
治療のポイント
・特発性縦隔気腫は一般的に予後良好であるが,続発性縦隔気腫は重症化しやすい.
・特発性縦隔気腫では安静などの保存的治療が主体となるが,続発性縦隔気腫では抗菌薬投与に加え基礎疾患に対する治療も必要になる.
・食道破裂(穿孔)や気管損傷による縦隔気腫は予後不良であり,早急な外科的処置の介入を必要とする.
◆病態と診断
A病態
・縦隔気腫とは,縦隔内に本来存在しない空気が貯留した状態である.
・症状としては,突然に発症する胸痛,呼吸困難,頸部痛,嚥下時痛,咳嗽などがある.
・原因が明らかではない特発性縦隔気腫と,外傷や何らかの基礎疾患が原因で生じる続発性縦隔気腫とに分類される.
・特発性縦隔気腫は若年の男性に多くみられ,咳嗽や運動,嘔吐など胸腔内圧が上昇するエピソードを有することが多いが,誘因となる明確なエピソードがない場合もある.
・続発性縦隔気腫は,喘息や肺炎などの呼吸器疾患による咳嗽や,気道損傷を含む胸部外傷,食道破裂(穿孔)で起こり,縦隔洞炎に発展し重症化することもあるため注意を要する.
B診断
・頸部の皮下気腫やHamman徴候(胸骨左縁での心拍動と一致する捻髪音)がみられることがある.
・胸部X線写真だけでは診断が困難なこともあり,他疾患との鑑別のためにも積極的なCT撮影を行うべきである.
◆治療方針
A特発性縦隔気腫
原則入院とし安静で2~3日の経過観察を行う.胸痛の増悪や持続する発熱,白血球上昇,CRP上昇などがみられる場合は抗菌薬投与を考慮する.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
B続発性縦隔気腫
基
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