心不全における緩和ケア

palliative care for heart failure

木澤義之

（筑波大学教授・医学医療系）

　緩和ケアは，その提供する時期や疾患を問わず，生命の危機に直面している患者や家族にそのニーズに応じて行われるものとされている．2018年にWHOは緩和ケアをUniversal Health Coverageの1つ（いつでも，どこに住んでいても，その必要に応じて基本的な医療として提供されるべき医療）として位置づけ，緩和ケアの対象をさらに拡大することを念頭においている．わが国の死亡原因のうち15％を心疾患が占め，進行期の心不全患者は，倦怠感，呼吸困難をはじめとする苦痛症状を伴

初出:今日の治療指針2023年版 発行:2023年1月

収載:医学書院 医療情報サービス（2024年5月17日　掲-ID：c23_05034-00_a006z0011）