今日の診療
治療指針

陳旧性心筋梗塞
old myocardial infarction(OMI)
伊苅裕二
(東海大学教授・循環器内科学)

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GL慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版)

GL安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)

GL2020年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法

GL不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)

治療のポイント

・心筋梗塞を再発しやすい例であり,2次予防として心筋梗塞再発予防を行う.

・梗塞が大きい場合,左心室のリモデリングを起こし,心不全を発症する.心不全の原因疾患として頻度が高く,心不全の予防と治療を行う.

・駆出率が著しく低下している場合,ICDの適応となる.

・血行再建で改善が見込める場合にはPCI/CABGを検討する.

◆病態と診断

A病態

・急性心筋梗塞は急性期死亡率が高いが,急性期を生存した例がOMIである.

・冠動脈閉塞で関連領域の心筋が壊死を起こしたことにより,収縮障害から心機能低下をきたし心不全に至る.梗塞領域に関連して心室性不整脈をきたす場合があり,左室機能低下例では致死的になることがある.

・冠動脈閉塞の原因は動脈硬化が多数を占めるが,1か所で起こっているとは限らず,そのほかの場所にさらに閉塞を起こせば心筋梗塞の再発であり死亡率が高い.

B診断

・病歴:心筋梗塞の既往

・心電図:異常Q波と冠性T波が領域にみられる.

・心エコー図:領域に心筋の菲薄化と運動の低下.

◆治療方針

 ①心筋梗塞の再発を予防する,②心不全の予防と治療を行う,③左室駆出率(LVEF)低下例では植込み型除細動器(ICD:implantable cardioverter defibrillator)を検討する,④血行再建で改善が見込める場合には冠動脈インターベンション/冠動脈バイパス術(PCI/CABG:percutaneous coronary intervention/coronary artery bypass grafting)

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