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GL不整脈薬物治療ガイドライン(2020年改訂版)
治療のポイント
・自覚症状に乏しい場合は,基本的に治療は不要であり,自覚症状が強い場合に治療を検討する.
・心機能の評価と器質的心疾患の有無の評価は重要であり,心エコー検査が望ましい.
・上室期外収縮の頻度が高い場合は,心房細動に移行するリスクがあるため,定期的な評価を行う.
・心室期外収縮では,自覚症状に加え,心室頻拍への移行リスクの評価,および期外収縮誘発性心筋症による心機能低下の評価を行って治療適応を決定する.
◆病態と診断
A病態
・基本調律(通常は洞調律)に対して,予測されるタイミングよりも早期に出現する異所性の興奮を期外収縮とよぶ.
・発生部位により心房期外収縮,心室期外収縮に分類する.期外収縮のQRS波形が基本調律と同一だが,先行するP波が不明瞭な場合は上室期外収縮とよぶ.これは心房あるいは房室接合部起源の期外収縮の総称である.
・リエントリー・異常自動能・triggered activityのどのメカニズムでも期外収縮は起こりうる.
・低頻度(1日100拍以下)の上室期外収縮には病的意義はないと考えてよい.
B診断
・動悸・結滞などの自覚症状により心電図検査を受けるか,あるいは健康診断時の心電図検査によって発見されることが多い.近年はスマートウォッチによる脈波や心電図計測によって発見されることもある.
・期外収縮のQRS波形が洞調律のものと同一かどうかで起源を判断する.同一の場合は上室期外収縮と診断するが,上室期外収縮でも変行伝導(機能的な脚ブロック)を伴いQRS幅が広くなることもある.P波が先行せず,洞調律のものとは異なる幅広いQRS波がみられる場合は心室期外収縮と診断する.
・陳旧性心筋梗塞や心筋症などの器質的心疾患の有無,および心機能低下の有無は治療方針を決める重要な要素であり,心エコー検査の施行が望ましい.
・心室期
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