今日の診療
治療指針

心房細動
atrial fibrillation
池田隆徳
(東邦大学教授・循環器内科学)

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GL不整脈薬物治療ガイドライン(2020年改訂版)

GL2021年JCS/JHRSガイドラインフォーカスアップデート版 不整脈非薬物治療

ニュートピックス

・安定型冠動脈疾患を有する心房細動患者,高齢者で出血性素因を有する心房細動患者において,DOACの有用性を示す新たなエビデンスが出され,抗凝固療法としての適応がさらに拡大してきている.

治療のポイント

・心房細動患者における薬物治療の第1選択は,抗凝固療法である.

・薬物治療の第2選択は,β遮断薬をはじめとするレートコントロール療法である.

・抗不整脈薬でリズムコントロール療法を行う場合,心機能の程度を考慮して使用薬剤を決定する.

・症状を有する発作性心房細動は,カテーテルアブレーションのよい適応となる.

◆病態と診断

A病態

・頻脈性上室性不整脈の一種であり,発作性,持続性,永続性(慢性)に分類される.

・心電図では,正常P波が消失し迅速な細動波を認め,RR間隔が不規則になる.

・罹患率は加齢とともに高くなり,コモンディジーズとして取り扱われている.

・危険性の高い不整脈ではないが,脳塞栓症を合併する疾患として知られている.

B診断

・症状として,(脈の乱れ感を伴う)動悸を訴えることが多い.

・各種心電図検査(12誘導心電図,ホルター心電図,イベント心電図)で診断される.

・心エコーで原因となる基礎心疾患の有無を検索し,同時に心機能を評価する.

左房内血栓が疑われた場合,経食道心エコーでその有無を評価する.

・心房細動による潜因性脳梗塞が疑われた場合,植込み型ループ式心電計を考慮する.

◆治療方針

 治療法には,薬物治療に加えてカテーテルアブレーションもあるため,個々の患者において,総合的に判断して決める.

A生活習慣の改善と基礎心疾患の安定化

 治療に先立って,まずは生活習慣の改善と基礎心疾患を安定させる.不摂生な生活,暴飲暴食,深酒などを改めるよ

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