頻度 よくみる(1~2/1,000人といわれている)
GL不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)
GL2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン
治療のポイント
・動悸,失神の症状を訴える場合は発作時の心電図をとらえることが重要であり,最新の装着型心電図モニタリング機器はその同定に寄与する.
・動悸が持続するときは医療機関を受診し,心電図を記録するよう指導する.
・特に心房細動(AF)の合併は時に突然死リスクとなるため,積極的なカテーテルアブレーションの適応とする.
◆病態と診断
A病態
・WPW症候群は心電図上の3主徴;PR(PQ)時間の短縮,デルタ波,QRS幅の拡大によって診断され,房室間に存在する副伝導路(俗称:Kent束)が順行性に伝導する際に生じる心室の早期異常興奮(デルタ波)を本態とする.
・発生頻度は0.2~0.4%,突然死発生率は年間0.1%とされる.多くは無症候性で,健診などで発見される.
・動悸発作を訴える場合は房室回帰性頻拍(AVRT:atrioventricular reciprocating tachycardia)またはAF(atrial fibrillation)の合併がその主たる原因である.AVRTの頻度が高く,ほとんどは房室伝導を順伝導,副伝導路を逆伝導する回路(リエントリー)を形成するため,QRS形態は正常化する.一方,AFが合併すると副伝導路を順伝導する興奮が優勢となり,デルタ波は顕著化し,一見すると心室頻拍のように観察される(俗称:偽性心室頻拍).
B診断
・心電図上,上記の3主徴が観察されることで診断される.副伝導路の存在部位により,A型(左側:V1 でR型),B型(右側:V1 でrS型),C型(中隔:V1 でQS型)に分類される.
・B型の副伝導路は洞結節に近い右側に存在するため,副伝導路で形成される心室興奮成分が大きく,デルタ波が顕在化するため