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GL急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
GL2021年JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療
ニュートピックス
・2021年に欧州心臓病学会から発表された「心不全診療ガイドライン」では,急性心不全治療において,モルヒネの使用がClass Ⅲとして禁忌になったこと以外は,前回のガイドラインと変化がない,とされた.ある意味,それが重要なトピックスといえる.この分野のブレークスルーが待たれる.
治療のポイント
・クリニカルシナリオに基づき,主に収縮期血圧を意識しながら,救急対応を行う.
・その後,身体所見やバイタルサイン,画像診断所見をもとに,臓器低灌流所見の有無に注意しながら,うっ血症状の軽減に努める.
・さらに,初期治療の有効性を評価するとともに,基礎疾患の鑑別,増悪因子の把握を行う.
◆病態と診断
A病態
・急性心不全とは,「心臓に構造的および/あるいは機能的異常が生じることで,心ポンプ機能が低下し,心室の血液充満や心室から末梢への血液駆出が障害されることで,種々の症状・徴候が複合された症候群が急性に出現あるいは悪化した病態」と定義される.
・急性心不全の病態には,うっ血と臓器低灌流の2種類が考えられるが,ほぼすべての患者にうっ血は何らかの形で存在すると考える.心拍出量低下に伴う臓器低灌流所見を呈する症例は少数であるが,見逃すとうっ血に対する治療に伴い病態は増悪するので注意が必要である.
・急性心不全の基礎疾患は,心ポンプ機能を障害するすべての疾患と考えられる.これらは新規発症(例:急性心筋梗塞の初回発症)と,慢性心不全急性増悪に分けられる.慢性心不全急性増悪は,それまでに代償機転を有していることが多く,心機能だけでは病態を見誤ることがある.
・増悪因子として,塩分過剰摂取,過労,服薬コンプライアンスの低下など生活習慣に伴うものから
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