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GL感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)
治療のポイント
・原因不明の発熱,塞栓症では,常にIEを念頭におき,血液培養や心エコー図,頭部MRIを行うことが必要.
・IEと診断されたら,常に手術適応を念頭におきつつ,感染症専門医とも連携し抗菌薬治療を行う.
・IEの高リスクの患者において,出血を伴う歯科治療を行う場合には,予防的抗菌薬投与を行う.
◆病態と診断
A病態
・IEは,心内膜が障害され非細菌性血栓性心内膜炎が生じているところに,一過性の菌血症から細菌が付着・増殖し,心構造物の破壊,全身の塞栓症をきたす.治療しなければ死に至る疾患である.
B診断
・原因のはっきりしない発熱,塞栓症,突然の心不全などで発症する.
・血液培養陽性,心内膜障害所見(疣腫など)というDuke診断基準の2つの大基準に加えて,素因,発熱,血管・免疫学的現象(主要血管塞栓,眼球結膜出血,Janeway発疹,Osler結節など)を考慮して臨床的に診断される.
・血液培養が陰性となる最も大きな原因は,血液培養採取前の抗菌薬投与である.原因のはっきりしない発熱では,安易に抗菌薬投与を行う前に血液培養を最低でも2セット採取しておくことが重要である.
・IEが疑われる患者では全例経胸壁心エコー図が行われるべきである.初回の検査で陰性であっても,臨床上IEが疑われる例では3~7日後に再検査すべきである.経胸壁心エコー図で十分な画像が得られない例や,人工弁やデバイス留置例では積極的に経食道心エコー図を実施すべきである.特に弁周囲膿瘍の診断には経胸壁心エコー図だけでは不十分であり,経食道心エコー図の実施が望ましい.
・心エコー図が中心的な画像診断であるが,頭部MRIによる塞栓現象の同定,心電図同期心臓CT,18F-FDG PET/CTが診断に有用である.
・中枢神経徴候を呈さないIEまたはIEの疑
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