頻度 (有病率は10万対0.2人,罹患率は10万対0.06人/年)
治療のポイント
・特異的な治療はない.心不全への対症的薬物管理が中心となる.
・うっ血を軽減する薬物として利尿薬を用いるが,難治例にはループ利尿薬にトルバプタンを併用する.
・病期が進行すると,根本的には心臓移植しかない.
◆病態と診断
A病態
・左室拡張障害が基本病態であり,通常はアミロイドーシスなどの2次性を除く特発性を指す.
・①硬い心筋の存在,②左室拡大や肥大の欠如,③正常または正常に近い左室収縮機能,④原因(基礎疾患)不明,が診断の必要十分条件である.
・一部にサルコメア蛋白の遺伝子異常が存在する.
・収縮性心膜炎,心アミロイドーシス,心内膜心筋線維症,高齢者心との鑑別が必要である.
・小児の原発性心筋症のなかで生命予後が最も不良で,5年生存率は約30%である.
B診断
・息切れや倦怠感,動悸や失神のほか,健診での心電図異常で発見されるこ