頻度 割合みる
ニュートピックス
・致死性不整脈のリスク因子として,診断時の年齢,男性,心室期外収縮数(/24時間),T波陰転化の誘導数が挙げられ,これらによるARVC Risk Calculatorが提唱された(https://arvcrisk.com).
治療のポイント
・長期にわたって緩徐に進行する心筋症で,不整脈と心不全の両面から治療を組み立てる.
・突然死リスクの評価を行う.
・生活指導(特に若年者)として激しい運動は制限する.
◆病態と診断
A病態
・心室不整脈と右室心筋の線維脂肪置換を特徴とする.
・家族内発症が3~5割,遺伝子異常が3~6割に認められ,心筋細胞間接着に関与するデスモゾーム構成蛋白の遺伝子異常が多い.
・早期には不整脈リスク(運動時)が高く,若年者の突然死の原因となる.
・顕性期は心室頻拍と右室を中心とした心拡大,収縮能低下を呈する.後期には右心不全あるいは両心不全をきたす.
B診断
・心室頻拍と右室の心拡大/収縮能低下が重要だが,早期の診断は難しい.
・心電図でV1~V3(~V4)の陰性T波を認め,V1 のQRS波終末部のノッチ(イプシロン波)は特徴的である.心室頻拍は左脚ブロック型(右室起源)である.
・心エコーで右室の拡大と収縮能低下を認める.MRIでは右室流出路の拡張や局所の壁運動低下,心外膜側の脂肪浸潤を認める.
◆治療方針
不整脈原性右室心筋症の治療方針は,生命予後(突然死と心不全死)の改善と症状,生活の質の改善である.
A不整脈治療
突然死の高リスク例には植込み型除細動器が適応となる.左室機能が保たれていればβ遮断薬+Ⅰ群抗不整脈薬やソタロールが有用である.速い心室頻拍や心機能低下例にはアミオダロンのほうが有効である.安定した心室頻拍にはカテーテルアブレーションが有効な場合もある.顕性期~後期には心房細動も出現してくる.アミオダロンによる洞調律維持あるいはβ遮断薬に
関連リンク
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