今日の診療
治療指針

心臓サルコイドーシス
cardiac sarcoidosis
永井利幸
(北海道大学大学院准教授・循環病態内科学)

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GL2016年版心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン

治療のポイント

・肉芽腫性炎症に対する免疫抑制療法,心不全・不整脈治療が基本となる.

・禁忌のない限り,全例で免疫抑制療法を導入する.

・不整脈デバイスは免疫抑制療法開始前に留置する.

◆病態と診断

A病態

・サルコイドーシスは,心臓,肺,眼,皮膚などに非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の全身性疾患である.

・主病態は肉芽腫性炎症と線維化に起因した致死性不整脈による突然死,心室機能低下による心不全である.

B診断

・日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン(2016年版)」に基づき,診断する.

・心臓外臓器の合併を認めない心臓限局性サルコイドーシスが存在する.

◆治療方針

 致死性不整脈に対するデバイス留置の適応がある場合,感染予防の観点から免疫抑制療法開始前に留置したのち,免疫抑制療法,心不全・不整脈治療を行う.

A免疫抑制療法

 原則プレドニゾロンを使用する.臨床症状,18F-FDG PETやガリウムシンチによる炎症の消退を確認しつつ,4週ごと漸減する〔30→25→20→15→10→7.5→5mg/日(維持量)〕.投与量10mg/日以上まで感染症予防を行い,投与量にかかわらず骨粗鬆症の予防も行う.

Px処方例 下記の薬剤を適宜用いる.

1)プレドニゾロン(プレドニン)錠(5mg) 1回3錠 1日2回 朝・昼食後

2)スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ダイフェン)配合錠 1回1錠 週3回 朝食後

3)ベンゼトニウム(ネオステリングリーン)うがい液 1日3回 含嗽

4)リセドロン酸(アクトネル)錠(75mg) 1回1錠 月1回

B心不全に対する治療

 日本循環器学会「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」に基づいて治療を行う.心臓移植を考慮する際は,移植適応評価の時点までに十分な免疫抑制療法が施行

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