今日の診療
治療指針

心アミロイドーシス
cardiac amyloidosis
杉村宏一郎
(国際医療福祉大学教授・循環器内科学)

頻度 あまりみない

GL2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン

ニュートピックス

・遺伝性トランスサイレチン型(ATTRv)および野生型トランスサイレチン型(ATTRwt)アミロイドーシスの心病変へのタファミジスメグルミンに加えて,ATTRvアミロイドーシスに対してsiRNA核酸医薬パチシランが認可されている.

・近年,HFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)患者の17%でATTRwtアミロイドの沈着が認められたことや,経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI:transcatheter aortic valve implantation)を実施した患者の16%がATTRアミロイドーシスであったことが報告されている.

治療のポイント

・心アミロイドーシスは2次性心筋症に分類され,心肥大を呈する鑑別疾患群のなかで,それぞれの治療法が存在するため正確な鑑別が求められる.

・心アミロイドーシスの病型により治療が異なるため,正確な病理診断が重要である.

◆病態と診断

A病態

・蛋白質が特有のβシート構造に富むアミロイド線維を形成し,心臓の間質に沈着することで形態的かつ機能的な異常をきたす.

・心アミロイドーシスは,ALアミロイドーシスとATTRアミロイドーシス(ATTRvおよびATTRwtアミロイドーシス)に大別される.

心肥大,拡張障害主体の病態を呈し,収縮障害,房室伝導障害,心房細動,致死性不整脈なども引き起こす.生命予後は,病型や進行度によって異なる.

B診断

・アミロイドーシスの確定診断には,組織におけるアミロイド沈着を病理組織学的に証明する.

・個々の前駆蛋白(κ鎖,λ鎖,TTR,amyloid Aなど)に対する特異的な抗体を用いて免疫組織染色を行い,病型分類を行う.

・心臓,神経,腎など生検の侵襲性が高い臓器の場合は,比較的低侵

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