今日の診療
治療指針

膠原病,内分泌疾患に伴う心疾患
cardiovascular disorders in collagen or endocrine diseases
北岡裕章
(高知大学教授・老年病・循環器内科学)

頻度 割合みる

治療のポイント

・膠原病,内分泌疾患における心疾患は,それ自体が原疾患の重症度や活動性を反映する場合も多く,病態の把握と適切な治療が重要である.

・膠原病では,ステロイドや免疫抑制薬が治療に使われることが多く,治療薬による心血管系への影響や合併症にも注意が必要である.

◆病態と診断

A病態

1.膠原病に伴う心疾患

・膠原病は,さまざまな多臓器障害と免疫異常を特徴とする疾患の総称である.膠原病に合併する心血管病変は多岐にわたり,疾患ごとに注意すべきことが異なるが,心外膜炎心筋障害肺高血圧,伝導障害,冠動脈疾患などの合併に注意が必要である.

・SLEでは心外膜炎が診断基準の1つである.抗リン脂質抗体症候群(APS:antiphospholipid syndrome)を合併すると動静脈の血栓症を合併する.

2.内分泌疾患に伴う心疾患

・甲状腺機能低下症:徐脈,左室収縮能低下,心嚢液貯留などを認める.甲状腺機能低下は冠動脈疾患のリスクとなる.

・甲状腺機能亢進症:初診時の心房細動合併率は約2~20%とされる.高齢者では心房細動のみが本症の症状であることもある.頻脈が持続すると,頻脈誘発性心筋症を生じる.高拍出性心不全や肺高血圧を合併することもある.

・先端巨大症:高血圧,左室肥大や弁膜症などの合併症を認める.

・クッシング症候群:高血圧や代謝異常による動脈硬化を生じやすい.

・原発性アルドステロン症:2次性高血圧の最も多い原因である.同程度の血圧でも本態性高血圧に比べて,冠動脈疾患,心房細動,心不全などの心血管合併症が多い.

B診断

・心外膜炎,心筋障害,伝導障害,弁膜症に対しては,心電図や心エコー検査が診断の中心となる.

・強皮症,混合性結合組織病(MCTD:mixed connective tissue disease),SLEで認めることが多い肺高血圧に対しては,正確な肺高血圧の診断と病態

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?