頻度 あまりみない
治療のポイント
・胸痛,息切れ,血圧低下といった臨床症状から,まずは心膜疾患の存在を疑うことが重要であり,特徴的な心エコー所見から心タンポナーデと診断する.
・急性の心嚢液貯留に伴い血行動態が不安定な場合には,心嚢穿刺により血行動態を安定化させる.
◆病態と診断
A病態
・何らかの原因により心膜腔に心嚢液が貯留することで心膜伸展の限界に達した結果,心膜腔内圧が上昇して心腔内圧を超えると,まず右房から拡張障害が生じ静脈還流が減少する.すなわち心タンポナーデとは,右心系の充満障害,左室拡張期容量の減少,1回拍出量の低下から低心拍出症候群(LOS:low output syndrome)をきたし,血圧が低下し,血行動態が破綻する疾患である.
・急性貯留:急性心筋梗塞後の心破裂,急性大動脈解離(Stanford A型),カテーテルによる冠動脈・心筋の穿孔,心膜心筋炎,外傷性などでみられる.急