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GL成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017年改訂版)
ニュートピックス
・肺高血圧を伴う心房中隔欠損(ASD)が積極的に治療されるようになった.高度肺高血圧合併例に,肺血管拡張薬で治療後に(treat),ASDを閉鎖する(repair)方針で良好な結果が得られたという報告がある(treat and repair).ただし肺高血圧合併例でのASD閉鎖において,肺血管抵抗の上限はいまだ不明である.
治療のポイント
・手術とカテーテルによる経皮的閉鎖術が標準的治療法である.近年は,カテーテル閉鎖術の選択が増加している.
・治療の必要性は,右室の拡大の有無で決まる.有意な右室容量負荷がある場合に治療適応となる.本症で奇異性塞栓により脳梗塞をきたすこともある.脳卒中や脳虚血発作の既往がある場合には,小さな欠損でも治療適応がある.頭痛で悩む患者のなかには,卵円孔開存が原因のことがある.頭痛に対する閉鎖栓での治療は適応外使用となる.
◆病態と診断
A病態
・近年,成人先天性心疾患患者の数は増加して,小児患者数よりも多くなっている.成人先天性心疾患は,心房中隔欠損(ASD:atrial septal defect),心室中隔欠損,動脈管開存などの単純疾患から,ファロー四徴症などの複雑疾患まで多岐にわたるが,ASDは成人先天性心疾患のなかで最も頻度が高い.
・欠損孔を通じて左心房から右心房へ酸素化された血液が流入し,右室の容量負荷をきたす.径10mm以下の比較的小さな欠損でも,成人になってから左室のコンプライアンスが低下し,左-右短絡が増えて,右室が拡大することがある.
・右房拡大によって,40歳以降では心房細動の頻度が上がる.
・成人期には肺血流増加による肺高血圧を認めることが多くなる.
・右室拡大は三尖弁閉鎖不全をきたし,それがさらに右室拡大を増悪させる.
・欠損孔を閉鎖すると左-右短絡が消失す
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