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GL肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)
ニュートピックス
・癌関連静脈血栓塞栓症において直接経口抗凝固薬(DOAC:direct oral anticoagulant)の有効性・安全性が示され,DOACはワルファリンに代わり第1選択の経口薬となった.
治療のポイント
・抗凝固療法が基本であり,診断後直ちに開始する.PTEが強く疑われる場合,出血などの禁忌がなければ,確定診断を待たず,すみやかな未分画ヘパリン投与開始が推奨される.
・抗凝固療法の継続期間は,VTEの再発および出血リスクを考慮し決定する.
◆病態と診断
A病態
・肺血栓塞栓症(PTE:pulmonary thromboembolism)は,主に下肢および骨盤内の深部静脈血栓(DVT:deep vein thrombosis)が塞栓源となり,遊離し発症する.
・PTEでは,肺動脈の血栓閉塞により,呼吸困難や胸痛などの症状を生じる.重症例では,急性右心不全による循環虚脱,心停止をきたしうる.
・DVTでは,急性期に患側の浮腫や疼痛などを生じうる.慢性期には,静脈還流障害や静脈弁機能不全により,浮腫,静脈瘤,潰瘍などを呈することがある(血栓後症候群).
B診断
・呼吸困難,胸痛などを認めた場合,PTEを鑑別に挙げる.胸部X線では,肺動脈中枢部の拡張や肺野の透過性亢進を認めることがある.心電図では,右側前胸部誘導(V1~4)の陰性T波,洞性頻脈,S1Q3T3,右脚ブロックなどを認めることがある.なお,心電図,X線で異常を認めなくても,PTEは除外できないため注意する.確定診断には造影CTが有用であり,実施時は同時にDVTの合併がないか確認を行う.
・片側の下肢の浮腫や疼痛からDVTを疑い,下肢静脈エコーで確定診断する.
・なお,D-dimerは感度が高いため,除外診断目的で使用
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