今日の診療
治療指針

心臓神経症
cardiac neurosis
岸 拓弥
(国際医療福祉大学大学院教授・循環器内科)

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治療のポイント

・患者が訴える症状の原因が心臓神経症であると安易に断定して器質的心疾患を見落とすことがないようにする.

・傾聴や受容に努め,症状の原因が器質的心疾患ではなく,「心配しなくてもよい」ことを患者本人が納得できることを目的として治療継続することが重要である.

・ベンゾジアゼピン系薬剤の長期間投与には身体的・精神的依存状態に陥る可能性があるため,短期間の投与や頓服とするのが望ましい.

◆病態と診断

A病態

胸痛や胸苦しさ・異常な動悸息切れなどの症状を認めるが,その原因が器質的心疾患ではないことが確定しているものを心臓神経症と定義する.過度なストレスや過労だけではなく,類似する症状の記憶や,周囲の人が罹患した重篤な循環器病に関する情報によって生じる不安が誘因となり,自律神経障害(交感神経活性化状態が比較的多い)により器質的心疾患がなくても上記の症状を呈する.

・あらゆる症状が「心

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