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治療のポイント
・患者が訴える症状の原因が心臓神経症であると安易に断定して器質的心疾患を見落とすことがないようにする.
・傾聴や受容に努め,症状の原因が器質的心疾患ではなく,「心配しなくてもよい」ことを患者本人が納得できることを目的として治療継続することが重要である.
・ベンゾジアゼピン系薬剤の長期間投与には身体的・精神的依存状態に陥る可能性があるため,短期間の投与や頓服とするのが望ましい.
◆病態と診断
A病態
・胸痛や胸苦しさ・異常な動悸・息切れなどの症状を認めるが,その原因が器質的心疾患ではないことが確定しているものを心臓神経症と定義する.過度なストレスや過労だけではなく,類似する症状の記憶や,周囲の人が罹患した重篤な循環器病に関する情報によって生じる不安が誘因となり,自律神経障害(交感神経活性化状態が比較的多い)により器質的心疾患がなくても上記の症状を呈する.
・あらゆる症状が「心臓に異常があるから」と執着的に思い込む意識が強く,突然死に対する不安が強いことが少なくない.
・多くは神経心理学的要因であるが,発育歴的要因(小児期の心的外傷)や認知機能的要因の関与も少なくなく,また脳セロトニン輸送体やグルタミン酸代謝に関する遺伝子異常が関与している可能性もある.
B診断
・身体診察ならびに心電図・心臓超音波検査・胸部X線などから器質的心疾患がないことを確認する.特に,冠攣縮性狭心症や微小血管性狭心症が原因ではないことを鑑別することが不可欠であり,ホルター心電図や硝酸薬の発作時頓用による効果を評価することが重要である.さらに,発作性心房細動など不整脈による症状の可能性を除外するために,ホルター心電図や携帯型心電計,ウェアラブルデバイスの活用も有用である.
・循環器病以外では,内分泌系疾患(甲状腺機能障害,副腎機能障害など)の除外が必要である.
・数分でピークを迎える動悸・窒息感・胸
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