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治療指針

心不全,心臓手術後の心臓リハビリテーション
cardiac rehabilitation in patients with heart failure or after cardiac surgery
三浦伸一郎
(福岡大学主任教授・心臓・血管内科学)

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GL2021年改訂版心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン

ニュートピックス

・心臓リハビリテーション(心リハ)は,左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)のみでなく,左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)に対しても有用である.

・心リハは,冠動脈バイパス術後患者において有用である.

治療のポイント

・早期離床に努めて過度の安静臥床による弊害を予防する.

・心リハでは,再発予防の自己管理プログラムを行う.

・心リハでは,多職種連携により包括的疾病管理にあたる.

・運動療法が禁忌となる病態を把握する.

・心肺運動負荷試験(CPX)にて運動処方を決定する.

・心リハは,急性期のみでなく回復期から維持期まで一生涯行う.

◆病態と診断

A病態

・心不全とは,心臓のポンプ機能が低下して,全身の臓器に必要な血液を十分に送り出せなくなった状態である.また,各種心疾患や高血圧などによって心臓に負担がかかった終末像の症候群である.

・心不全は,駆出率の低下した心不全(HFrEF:heart failure with reduced ejection fraction)と駆出率の保たれた心不全(HFpEF:heart failure with preserved ejection fraction)に分類される.

B診断

・問診(NYHA心機能分類),身体診察,各種検査(心電図,胸部X線,心臓エコー,血中BNPまたはNT-proBNP)にて心不全を診断し,重症度分類を行う.

◆治療方針

 共通項目として,以下が挙げられる.①運動療法の絶対的禁忌・相対的禁忌について理解しておく.②運動負荷のステップアップ基準も把握する.③運動療法は,心肺運動負荷検査(CPX:cardiopulmonary exercise test)により運動処方を作成する.最高酸素摂取量の40~60%の運動強度または嫌気性代謝

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