GL2021年改訂版心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン
治療のポイント
・世界的に心筋梗塞後は長期安静臥床すべし,であった時代,1956年の日本内科学会シンポジウムで,久留米大学の木村登教授が急性心筋梗塞早期の運動負荷の重要性を提唱したことが始まりである.
・急性期には,監視下にて早期離床をはかる.
・前期回復期には,運動処方を行い,包括的・体系的に心臓リハビリテーションを実施する.
・後期回復期には,有酸素運動およびレジスタンストレーニングを行い,運動習慣を含めた生活習慣の指導を行う.
・維持期では,再発予防を目的とし,リハビリを生涯継続する.
◆病態と診断
A病態
・急性心筋梗塞は,冠動脈の閉塞により心筋壊死を生じる病態である.
・急性期の過剰な安静臥床は身体デコンディショニングを生じて有害であるため,良好な再灌流が得られ,補助循環が必要でない症例では,安静臥床は最小限にする.
・繰り返す心筋虚血や心不全,致死性不整脈などを合併する症例以外は,ベッド上安静を12~24時間以内とする.
B診断
・①患者の病態・重症度の評価,②運動処方に基づく積極的な運動療法,③2次予防教育,④復職・心理カウンセリングなどを軸に包括的・体系的に診断し,心臓リハビリテーション(心リハ)を施行する.
◆治療方針
急性心筋梗塞に対する心リハの目的は,入院早期からの患者への包括的介入により,安全にADLを獲得し,退院後の予後を改善させることである.
A急性期心リハ(ICU/CCU)
医師やコメディカルの監視の下,身の回りのことを安全に行い,2次予防に向けた教育を開始する.室内歩行程度の歩行負荷試験をクリアできれば,ICU/CCUから一般病棟へ移る.
B前期回復期心リハ(一般病棟/心リハ室)
プログラムに沿って離床をはかり,心筋虚血がなく200m歩行が可能となれば,持久力トレーニングへ移行する.合併症に注意し