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治療指針

心疾患患者の非心臓手術
non-cardiac surgery in the patients with heart disease
齋木佳克
(東北大学教授・心臓血管外科)

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GL2022年改訂版 非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン

ニュートピックス

・非心臓手術前に直接経口抗凝固薬(DOAC:direct oral anticoagulants)を休薬する際には,かつてはワルファリンに比しヘパリン置換の期間を短縮することができるという記載であった.今回のガイドライン改訂によって,DOAC休薬後のヘパリン置換は推奨されないとされた.

治療のポイント

・心血管系のリスクを有する患者の非心臓手術治療を安全に遂行するためには,科学的エビデンスのある評価法によってリスクの層別化を行い,マネージメントを最適化することが肝要である.

・高齢者層の大動脈弁狭窄症に対する低侵襲治療として経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI:transcatheter aortic valve implantation)が増加しているが,無症候性であれば予防的TAVIは行わずに非心臓手術を実施する.

・同様に,低侵襲性の冠動脈狭窄治療法として経皮的冠動脈インターベンション(PCI:percutaneous coronary intervention)の治療成績が改善している現代であっても,非心臓手術を受ける予定の安定型冠動脈疾患患者においては,原則として術前に予防的冠血行再建をしない.

◆病態と診断

A病態

・非心臓手術周術期合併症はさまざまあるが,心疾患を合併している場合には循環器関連合併症(心筋梗塞,脳梗塞,心不全,不整脈など)のリスクを低減するため,リスクを客観的に層別化し,それに基づいてマネージメントを実践する.

B診断

・病歴と身体所見が重要であることは,現代でも循環器関連リスク低減の根幹をなしている.次に適切な検査内容決定のための視座として,リスク層別化に寄与するか,マネージメントを変えることになるかが重要である.

・超高齢化した患者層においては多数の

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