治療のポイント
・問診,理学所見,画像検査によって異物の種類・部位を把握し,異物除去の緊急性を判断する.
・異物の多くは内視鏡的に摘出可能であり,内視鏡的異物摘出術について専門医にすみやかにコンサルトする.
・消化管の穿孔・出血・閉塞や毒性のある異物による病態の急変に注意し,外科的処置の可能性も念頭におく.
◆病態と診断
A病態
・小児では硬貨,ボタンなど丸くて飲み込みやすいものが多く,成人では食物塊,魚骨のほか,最近では高齢者でPTP包装,義歯が増加している.異物除去の緊急性に応じて,以下のように分類されている.
1.緊急性のあるもの
・出血穿孔の可能性のあるもの:有鈎義歯,PTP包装,針,ガラス,魚骨,寄生虫
・閉塞の可能性のあるもの:食物塊,硬貨,ビニール袋など
・毒性のあるもの:電池(マンガン,アルカリ,水銀,リチウム)など
2.緊急性のないもの
・パチンコ玉,ボタン,ビー玉,碁石,体温計内の水銀など.
B診断
・問診:最も重要である.本人以外やお薬手帳などから情報を得る.
・理学的所見:消化管出血・穿孔・閉塞所見を確認する.
・画像診断:単純X線,CTにて異物の形状,部位,周囲臓器との関連を確認する.
◆治療方針
A全身状態の安定化
緊急内視鏡を要する場合,静脈路を確保し,輸液や適宜輸血を行い,呼吸・循環動態のモニタリングを行う.
B内視鏡的異物除去
熟練した専門医が適切な方法を選択し,安全に除去することが肝要である.
把持鉗子,バスケット鉗子,スネア,回収ネットなどを状況に応じて使い分け,回収時に消化壁損傷をきたさないようオーバーチューブや先端透明フード,バルーンなどを併用し愛護的に回収する.
C内視鏡的摘出困難例
内視鏡的異物除去が困難な場合は,消化管穿孔・出血・閉塞の病態に応じて外科手術を考慮する.
■専門医へのコンサルト
・バイタルサインの評価を最優先で行い,問診,理学所見,画像診断などから異物の部