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GL食道癌診療ガイドライン2022年版 第5版
ニュートピックス
・2022年に「食道癌診療ガイドライン 2022年版 第5版」が出版されたので参照すること.
・cStage Ⅰ(T1bN0M0)胸部食道癌において食道温存を希望する場合には,適切な経過観察とサルベージ治療を考慮することで,根治的化学放射線療法も選択肢となり得る.
・cStage Ⅱ,Ⅲ食道癌に対しては,術前化学療法後の手術が標準治療であり,術後補助療法としてニボルマブを投与する.
・胸部食道癌に対して胸腔鏡下食道切除術を行うことを推奨する.
・cT2以深の食道胃接合部癌に対する手術において,食道浸潤長が2cm超であれば下縦隔リンパ節郭清を,食道浸潤長が4cm超であれば上中下縦隔リンパ節郭清を行うことを推奨する.
治療のポイント
・治療アルゴリズムは臨床病期に基づいて行われる.
・ステージⅠ:粘膜内癌では内視鏡治療,粘膜下浸潤があれば手術治療あるいは化学放射線療法を行う.
・ステージⅡ/Ⅲ:術前化学療法+根治手術,術後ニボルマブによる補助療法を行う.
・ステージⅣ:基本的には全身化学療法であるが,通過障害があれば化学放射線療法やステント治療も考慮する.
◆病態と診断
A病態
・好発年齢は,60歳代以降,特に70歳代以降であり,男女比は5:1で男性に多い.罹患者数は年間約26,000例であり,死亡者数は約12,000例である.5年相対生存率は40~45%前後である.
・90%以上が扁平上皮癌であり,その発症リスクは主として飲酒と喫煙である.飲酒時に顔面が赤くなる体質では,扁平上皮癌発癌リスクが高い.食道腺癌では,食道胃逆流症・バレット食道が発症リスク因子である.
・ステージⅠ粘膜内癌ではリンパ節転移はほとんどないが,粘膜筋板(MM)癌では,転移例がある.この段階では,ほとんど自覚症状はなく,胃癌検診あるいは偶然の上腹部症状を契機