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治療指針

胃癌
gastric cancer
道田知樹
(大阪国際がんセンター・消化管内科主任部長)

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GL胃癌治療ガイドライン医師用2021年7月改訂 第6版

ニュートピックス

・2021年7月改訂の「胃癌治療ガイドライン第6版」では,JCOG1009/1010試験の結果を受けて未分化型粘膜内癌(2cm以下,潰瘍所見なし)が内視鏡切除の絶対適応病変に組み入れられ,食道胃接合部癌に対する手術アプローチとリンパ節郭清のアルゴリズムや,腹腔鏡下手術およびロボット支援下手術について最新の知見も示された.

・2022年度診療報酬改定では,胃癌のロボット支援下内視鏡手術の点数の見直しが行われ,腹腔鏡下全摘手術,腹腔鏡下切除手術,腹腔鏡下噴門側切除手術について,ロボット支援下では加算点数を算定できることになった.また,手術成績と術者の経験症例数との関連を調べたところ術後合併症の発生に有意差がなかったことから,施設基準から症例経験数が削除された.

治療のポイント

・「胃癌取扱い規約 第15版」(2017年10月)で定義された,深達度,リンパ節転移,遠隔転移の術前診断で,進行度分類の臨床分類(cStage)が決定される.

・上記3因子をもとに,「胃癌治療ガイドライン第6版」に沿って,日常診療で推奨される治療法を選択する.

・領域リンパ節以外の転移があれば,化学療法主体の治療(,「消化管癌の化学療法」の項参照)が考慮され,それがない場合は,早期癌では内視鏡切除または外科手術,進行癌では外科手術または外科手術+化学療法が選択される.

・内視鏡的切除後病理診断により内視鏡的根治度(eCura)が評価され,リンパ節転移の可能性や局所再発の危険性が無視できない場合は,追加手術が勧められる.また,外科手術後は進行度分類病理分類(pStage)から,術後化学療法が検討される.

・内視鏡切除に関しては,2020年2月改訂の「胃癌に対するESD/EMRガイドライン(第2版)」に,適応,術前診断,手技,偶発症など

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