頻度 割合みる
◆病態と診断
A病態
・消化管リンパ腫は,消化管悪性腫瘍の1~8%を占める比較的まれな疾患である.
・胃に好発し(60~80%),次いで小腸(20~30%),大腸(5~10%)の順でみられる.
・WHOの組織分類ではmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫とdiffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)が高頻度であり,両者で70~80%を占める.
・近年,十二指腸・空腸の濾胞性リンパ腫の診断例が増加している.
・MALTリンパ腫は消化管などの節外臓器の粘膜関連リンパ組織(MALT)を発生母地とする低悪性度リンパ腫である.胃MALTリンパ腫の約90%はHelicobacter pylori感染胃炎を基盤に発生し,H. pylori除菌により60~80%の例で寛解が得られる.
B診断
・確定診断には病理組織検査が必要で,複数個の組織採取が推奨される.通常の生検標本で診断困難な場合は内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で採取された大きな標本で診断することを考慮する.
・臨床病期は,全身精査を行いLugano国際会議分類(Ⅰ,Ⅱ1,Ⅱ2,ⅡE,Ⅳ)に従って診断する.
◆治療方針
発生部位,組織型,病期により決定する.
A胃MALTリンパ腫
1.H. pylori除菌療法
第1選択治療法.H. pylori陽性例は絶対適応である.H. pylori陰性例でも除菌が奏効する例がある(保険適用外).
Px処方例 下記1)~3)の併用か4)のいずれかを用いる.
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