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GL炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020改訂第2版
治療のポイント
・完治しないため,臨床症状を抑え長期寛解を維持し,手術や大腸癌のリスクを低下させ,QOLを回復させることが治療目標となる.
・内視鏡的に炎症が完全消失した「粘膜治癒」も治療目標となり,再燃率,入院率,手術率,発癌率が低下する.
・適宜,治療目標と評価時期を設定し,目標が達成したかを定期的に評価し,未達成の場合は治療を適正化する治療戦略「Treat to Targetストラテジー」を実施する.
◆病態と診断
A病態
・主として粘膜を侵し,しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸のびまん性非特異性炎症で,遺伝的背景に,免疫異常や環境因子,腸内細菌叢などが複雑に絡み合い発症する.
・主に10代後半~30代前半で発症し,直腸から口側へ連続性・全周性に進展する.病変範囲から「全大腸炎型」,「左側大腸炎型」,「直腸炎型」,「右側あるいは区域性大腸炎」に分類する.
・腹痛・下痢・血便などを認め,再燃と寛解を繰り返しながら経過するが,時に腸管外合併症や,広範囲かつ長期間の炎症により大腸癌を併発する.
B診断
・腹痛・下痢・血便などの臨床症状に,下部消化管,内視鏡検査/注腸X線検査で粗ぞう粘膜や多発するびらん・潰瘍所見を直腸から口側に連続性に認め,さらに生検組織検査で粘膜全層にびまん性炎症性細胞浸潤,陰窩膿瘍,高度な杯細胞減少などを認め,感染性腸炎などを除外できれば診断となる.
◆治療方針
完治しないため,重症度や罹患範囲,QOLを考慮し治療を検討することが原則で,活動期には寛解導入療法を行い,寛解後は維持療法を継続する.寛解導入療法は,病変範囲(病型)と,①排便回数,②顕血便,③発熱,④頻脈,⑤貧血,⑥赤沈またはCRPで決定する臨床的重症度を加味し決定する.
最終治療目標を内視鏡的粘膜治癒に設定し,目標にむけて適宜モニタリングや
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