今日の診療
治療指針

クローン病
Crohn's disease
加藤 順
(千葉大学医学部附属病院・内視鏡センター長)

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GL炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020改訂第2版

ニュートピックス

・病態把握のためFEIA法による便中カルプロテクチン検査が保険承認となった(3か月に1回が限度).

・難治性痔瘻の治療に,間葉系幹細胞製剤ダルバドストロセル(アロフィセル)注が承認された.専門施設で使用可能.

治療のポイント

・全消化管を精査し,病変の場所・程度を把握して治療方針を決定する.

・狭窄,瘻孔,膿瘍があれば,まず手術適応について検討する.

・病態・重症度に応じて,ステロイドなどの既存治療で治療開始するか,抗TNF-α抗体などの生物学的製剤から治療開始するかを選択する.

・治療開始後も,血液検査や内視鏡で病勢をモニタリングしながら治療を最適化する.

◆病態と診断

・若年発症の多い原因不明難治性の消化管の炎症性疾患で,全消化管にびらんや潰瘍を非連続性に形成するが,主に侵されるのは小腸,大腸,肛門である.

腹痛,下痢などが主症状で,発熱,体重減少なども伴うことが多い.しかし,往々にして症状の出現は間欠的であり,確定診断に難渋する例もある.

・炎症をコントロールしないと腸管に全層性の潰瘍を形成し,狭窄や瘻孔,膿瘍,肛門部では痔瘻の合併症を生じるため,しばしば外科的治療を必要とする.

・診断,治療については,厚生労働省難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班より診断基準,治療指針が発行されており,入手可能である.

◆治療方針

 治療目標は,症状をコントロールすることに加え,手術に至るような合併症を起こさないようにすることである.症候性の狭窄や内瘻,外瘻,痔瘻などは,内科的治療の効果を減弱させるため,外科的治療を行う.内科的治療としては,ステロイドなどの既存療法と生物学的製剤が挙げられる.生物学的製剤は強力であるが,必ずしも全例で必要となるわけではない.

A内科的治療

1.生物学的製剤を第1選択としない治療

 狭窄や

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