今日の診療
治療指針

大腸ポリープ
colorectal polyp
浦岡俊夫
(群馬大学大学院教授・消化器・肝臓内科学)

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GL大腸cold polypectomyガイドライン(大腸ESD/EMRガイドライン追補)(2021)

GL大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン(2020)

GL大腸ポリープ診療ガイドライン2020(改訂第2版)

ニュートピックス

・内視鏡検査時にポリープ検出と質的診断を支援する人工知能の実用化が進んでおり,複数のメーカーから大腸内視鏡診断支援ソフトウェアが販売されている.

治療のポイント

・腫瘍性ポリープの内視鏡切除は,大腸癌の発生率およびその死亡率低下に寄与する.

・大腸ポリープに対する治療方針の決定には,拡大内視鏡を用いた正確な内視鏡診断が求められる.

・1cm未満のポリープに対して高周波を使用しないcold polypectomyが普及してきている.偶発症発生のリスクはきわめて低いが,切除検体における切除断端の病理組織学的評価が困難であることから,癌は本手技の適応外である.

◆病態と診断

A病態

・大腸ポリープとは,大腸粘膜から発生し内腔側に突出した隆起性病変の総称であり,一般に球状を呈する.

・組織学的には,腫瘍性および非腫瘍性ポリープに分類される.腫瘍性には,腺腫,SSL(sessile serrated lesion),癌が,非腫瘍性には,過形成性,過誤腫性(若年性,Peutz-Jeghers型),炎症性ポリープが含まれる.大腸ポリープの約80%は腫瘍性病変と報告されている.

・腺腫では,複数の遺伝子が多段階で変異し,遺伝子異常が蓄積して大腸癌に至る腺腫癌化説(adenoma-carcinoma sequence)に基づく発癌経路が考えられている.一方,過形成性ポリープは,基本的には癌化しない病変とみなされている.

B診断

・内視鏡にてポリープの部位,大きさ,質的(組織学的)診断を行う.

・腫瘍・非腫瘍や癌・非癌の鑑別診断を正確に行うためには,色素撒布と拡大内視

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