今日の診療
治療指針

大腸癌
colorectal cancer
松田尚久
(東邦大学医療センター大森病院教授・消化器内科)

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GL大腸癌治療ガイドライン 医師用 2022年版

ニュートピックス

・切除不能な遠隔転移を有する症例では,原発巣による症状がない場合は原発巣を切除せず,全身薬物療法を選択することも考慮すべきであることがJCOG1007試験から示された.

治療のポイント

・臨床病期に従い,治療方針を決定する.

・内視鏡治療,外科手術,薬物療法,放射線療法を組み合わせて行う.

・原則,cStage 0と一部のcStage Ⅰは内視鏡治療,cStage Ⅰ,Ⅱは外科手術単独,cStage Ⅲは外科手術に加え補助化学療法を行う.cStage Ⅳは外科手術,薬物療法,時に放射線療法を組み合わせる.

◆病態と診断

A病態

・良性の腺腫が徐々に癌化していくadenoma-carcinoma sequenceと,正常粘膜から直接癌が発生するde novo型に加え,近年,鋸歯状病変由来の発癌経路が注目されている.

・早期癌は無症状のものが多く,進行癌では下血,便通異常,腹痛などを認めることが多いが,右側大腸では症状が出にくく,慢性的な出血による貧血で発見されることがある.左側大腸では,便柱狭小や血便などが特徴的である.

・大腸癌の多くは腺癌であり,組織型は90%以上が高・中分化腺癌である.

・進行すると血行性転移(肝臓,肺),リンパ行性転移(リンパ節),他臓器への直接浸潤,腹膜播種などをきたすことがある.

B診断

・大腸内視鏡検査により病変を同定し,NBI(narrow band imaging)やBLI(blue laser imaging)などの光デジタル法内視鏡観察色素拡大内視鏡観察pit pattern診断)により,癌と診断できることが多い.

・臨床病期は,大腸内視鏡検査,CT,MRI,PETなどにより壁深達度(T),リンパ節転移(N),遠隔転移(M)の評価を行い,治療方針を決定する.

◆治療方針

 進行度に応じて

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