頻度 よくみる(肛門疾患に占める割合は,痔核が約60%,裂肛が約15%,痔瘻が約10%)
GL肛門疾患(痔核・痔瘻・脱肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版(改訂第2版)
ニュートピックス
・従来の治療や生物学的製剤による治療を行っても効果が不十分なクローン病の複雑痔瘻の治療において,ヒト間葉系幹細胞であるダルバドストロセル(アロフィセル注)の投与が保険承認された.
治療のポイント
・十分な水分量の摂取と食物繊維の摂取により便秘の解消に努める.
・下痢や炎症を惹起するアルコールや香辛料の過剰摂取を避ける.
・過度な努責や長時間便器に座り続けることを避ける.
・排便後は水洗浄や温坐浴を行い,紙で肛門を強く拭くことは避ける.
・薬物療法で改善しない痔核・裂肛および嵌頓痔核,肛門周囲膿瘍,痔瘻については,消化器外科・肛門科へ紹介する.
Ⅰ.痔核
◆病態と診断
A病態
・肛門管の粘膜下と肛門上皮下にある血管や結合織からなる支持組織(肛門クッション)が肥大化して出血や脱出などの症状を呈する状態で,歯状線より直腸粘膜側を内痔核,肛門上皮側を外痔核として区別する.
・病因には肛門クッションの素因や加齢による分断・脆弱化,内肛門括約筋の過緊張が関与している.近年,静脈還流阻害説は否定的な意見が多い.
B診断
・脱出,出血,疼痛,腫脹,瘙痒感,粘液漏出などの肛門症状があれば痔核を疑う.疼痛は,急性の血栓性外痔核や慢性の内外痔核に血栓を生じて急性腫脹した場合にみられることが多い.
・肛門鏡診察で視認することと,ほかの直腸肛門疾患を除外することで確定診断を行う.
・大腸内視鏡の直腸内反転観察でも内痔核を観察できるが,外痔核を含めた全体観察はできない.
・内痔核の脱出度に関する臨床病期分類(Goligher分類)は以下のようになる.
1)grade Ⅰ:排便時に肛門管内で痔核は膨隆するが,脱出はしない.
2)grade Ⅱ:排便時に肛門
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