治療のポイント
・胃切除後の患者は,従来は胃十二指腸潰瘍症例が中心であったが,抗潰瘍薬の進歩とともに,早期発見・治療される胃癌症例の増加により,現在は大多数が胃癌症例である.
・胃切除後障害の診断や生活指導,治療を適切に行うとともに,患者QOLの改善や精神的ケアが必要である.
・癌の再発予防のための補助化学療法の施行や,癌の再発および残胃の癌を含めた2次癌の早期発見,治療が必要となる.
◆病態と診断
・胃の機能が失われることによる胃切除後障害は,手術術式により病態が多様であるため,症例に施された手術のアプローチ方法,切除範囲,再建術式を正確に把握することが必要である.
・治療された胃癌の組織型や進行度によって再発形式や再発リスクは大きく異なるため,切除標本の病理結果や術中所見の確認は必須である.
◆治療方針
胃癌に対する胃切除後患者のケアとしては,胃切除後障害の診断や生活指導,治療とともに,癌の再発や残胃の癌を含めた2次癌の早期発見,治療を効率よく行う必要がある.術後フォローアップ時の検査は,CT画像検査,腫瘍マーカー(CEA,CA-19-9),上部消化管内視鏡検査が有用である.腫瘍マーカーは再発時に上昇し,画像診断より2~3か月程度先行するため,腫瘍マーカー値上昇や症状出現の場合は,検査の時期を早めることを推奨する.また術後フォローアップは,胃癌のStageを踏まえて,外来受診間隔や検査内容を選択することが重要である.
A胃癌術後フォローアップ
「胃癌治療ガイドライン 第6版」を参照のこと.
1.Stage Ⅰ胃癌の術後ケア
外来受診は,術後1か月目,3年目までは6か月ごと,それ以降は1年ごととし,術後5年目まで通院する.受診時に,問診,診察,performance status(PS),体重,血液生化学的検査,腫瘍マーカー(CEA,CA-19-9)をチェックする.CTおよび超音波検査は術