今日の診療
治療指針

ストーマケア
stoma care
石原聡一郎
(東京大学教授・腫瘍外科)

GL消化管ストーマ関連合併症の予防と治療・ケアの手引き(2018)

治療のポイント

・ストーマに関連する合併症は患者のQOLを大きく損なう.

・合併症の予防には,術前教育やストーマサイトマーキングなど,ストーマ造設前からの対処が重要である.

・ストーマ関連合併症の多くは適切なストーマケアにより保存的な対処が可能であるが,重症化する場合や外科的治療を要する場合があり,注意が必要である.

◆病態と診断

A病態

・ストーマ関連合併症は,①ストーマ合併症,②ストーマ周囲皮膚合併症,③代謝性合併症に分類される.

・ストーマ合併症には,造設部位に関連する合併症(位置不良など)と外科的合併症(粘膜皮膚離開,ストーマ陥没・陥凹,ストーマ壊死・血流障害,ストーマ部感染・周囲膿瘍,ストーマ閉塞,ストーマ脱出,傍ストーマヘルニア,ストーマ狭窄など)が含まれる.

・代表的なストーマ周囲皮膚合併症である皮膚炎はさまざまな原因によって生じ,ストーマ関連合併症の中で最も頻度が高い.

・代謝性合併症は小腸ストーマで生じやすく,水分,電解質,脂質胆汁酸の吸収分泌異常などに起因して生じる.多排泄量ストーマは1,200~2,000mL/日以上の排泄量を認める場合と定義され,脱水や電解質異常などにより重症化する場合もある.

B診断

・ストーマ関連合併症の多くは局所の観察によって診断可能である.ストーマ閉塞や傍ストーマヘルニアの診断にはCT検査などの画像診断が有用である.

◆治療方針

A術前

 ストーマの腹壁上における造設位置はストーマ関連合併症の予防に重要であり,術前のストーマサイトマーキングは合併症の発生率を低下させることが示されている.マーキングにはクリーブランドの原則(腹直筋を貫く位置,腹部脂肪層の頂点,本人が見やすい・セルフケアしやすい位置,くぼみ・しわ・瘢痕・上前腸骨棘を避ける,臍より尾側)が推奨されている.

 患者に対する術前カウン

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