今日の診療
治療指針

ラジオ波焼灼療法
radiofrequency ablation(RFA)
能祖一裕
(岡山市立市民病院・肝疾患センターセンター長)

ニュートピックス

・「肝癌診療ガイドライン2021年版」では,肝機能良好な(Child-Pugh分類A,B),遠隔転移や脈管侵襲を伴わない3cm以下3個以下の肝細胞癌に対して,ラジオ波焼灼療法が切除と同等の第1選択治療法に位置付けられた.

治療のポイント

・近傍に腸管などの重要臓器がある場合や,横隔膜直下で超音波での視認性が悪い場合は,人工腹水や人工胸水を作製後に焼灼を行う.

・腫瘍径が大きい場合は,ラジオ波焼灼療法は複数回穿刺が必要となるため,より大きく焼灼できるマイクロ波凝固療法も考慮する.

・穿刺局所療法の効果判定には,ダイナミックCT/MRIを用いる.

・根治治療後も多中心性再発をしばしばきたすので,3~4か月に1度程度のAFP,AFP-L3分画,PIVKA Ⅱの測定と,腹部超音波やダイナミックCT/MRIによるスクリーニングを繰り返す.

A穿刺局所療法の種類

1.ラジオ波焼灼療法

 現在の穿刺局所療法の主流であり,「肝癌診療ガイドライン2021年版」での推奨治療法となっている.対極板を要しないバイポーラー針や,傘型のLeVeenニードルなど,さまざまなタイプの穿刺針があるが,VIVAやarfaなどの非絶縁部長が可変式の17Gの単針タイプを用いることが多い.

2.マイクロ波凝固療法

 2,500MHz前後の,ラジオ波より高い周波数の電磁波を用いる治療法である.Emprintは穿刺針(アンテナ)が13Gと太いが,1回の治療でラジオ波焼灼療法より大きく球形に熱凝固が可能である.腫瘍が大きい場合や転移性肝癌の治療時など,広範囲の焼灼が必要な際に選択する.

3.エタノール注入療法

 21G針を用いて,エタノールを腫瘍内に注入する治療法である.特殊な装置が不要で簡便ではあるが,完全壊死を得るには繰り返し治療する必要がある.局所制御率がラジオ波焼灼療法に及ばないため,乳頭切開術やペースメーカ装着例など,

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