治療のポイント
・敗血症や臓器不全徴候を呈する急性胆管炎では,可及的すみやかにドレナージを施行しなくてはならない.
・高度な閉塞性黄疸例では,感染がない場合でも早期のドレナージを考慮する.
・ERCP関連手技であるEBDが第1選択として推奨されるが,困難な際にはPTBDもしくはEUS-BDを考慮する.
・抗菌薬はドレナージ術に先立ち投与開始し,ドレナージによる感染源制御後も4~7日間の投与を継続する.
◆病態と診断
A病態
・閉塞性黄疸をきたし胆管ドレナージが必要となる疾患には,肝癌・胆管癌・胆嚢癌・乳頭部癌・膵頭部癌・胆管結石・自己免疫性膵炎/慢性膵炎などがある.
・急性胆管炎の発生には,①胆管内に著明に増加した細菌の存在,②細菌またはエンドトキシンが血流内に逆流するような胆管内圧の上昇,の2因子が関与するため,ドレナージによる感染源制御が必要となる.
B診断
・適切な治療方針を立案するため,腹部超音波,造影CT,MRI(MRCP)により,閉塞性黄疸の成因を同定する.
・重症急性胆管炎は臓器障害をきたし呼吸循環管理などを必要とする病態,中等症は臓器障害には陥っていないがその危険性がある病態である.
◆治療方針
A概略
重症および中等症胆管炎は緊急~早期の胆管ドレナージが必要である.主たる胆管ドレナージ法として,内視鏡的胆管ドレナージ(EBD:endoscopic biliary drainage),経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD:percutaneous transhepatic biliary drainage),および超音波内視鏡下経消化管的胆管ドレナージ(EUS-BD:endoscopic ultrasonography-guided biliary drainage)があるが,通常はEBDが第1選択となる.重症胆管炎で凝固異常を伴う場合や抗血栓薬内服中の場合は,出血リスクを考慮しPTBD