今日の診療
治療指針

門脈圧亢進症
portal hypertension
近藤泰輝
(厚生会仙台厚生病院・肝臓内科科長)

頻度 割合みる

◆病態と診断

A病態

・消化管,膵臓,脾臓などの臓器からの静脈血が集まり,門脈となり肝臓の類洞に到達する.そこで肝細胞による代謝を受けたのちに中心静脈,小葉間静脈,肝静脈を経て下大静脈へ流れる.これらの血流のいずれかに障害を受けることにより,門脈の圧が高くなった病態が門脈圧亢進症である.門脈圧が200mmH2O(14.7mmHg)以上の状態を指す.

・門脈亢進症により生じる疾患は食道静脈瘤,胃静脈瘤,異所性静脈瘤,難治性を含む腹水,脾機能亢進(脾腫)による汎血球減少,免疫能異常,門脈大循環シャントの形成による肝性脳症,門脈血流うっ滞による門脈血栓症など多岐にわたる.また近年,門脈圧亢進症により肺動脈性肺高血圧症(PAH:pulmonary arterial hypertension)が引き起こされる疾患を門脈肺高血圧症(PoPH:portopulmonary hypertensio

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?