今日の診療
治療指針

C型慢性肝炎,肝硬変:抗ウイルス療法
chronic hepatitis C,liver cirrhosis(antiviral therapy)
豊田秀徳
(大垣市民病院・消化器内科部長)

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GLC型肝炎治療ガイドライン(第8.1版)(2022)

治療のポイント

・現行のC型慢性肝炎,肝硬変の抗ウイルス療法では,全例に対して経口抗ウイルス薬である直接型抗ウイルス薬(DAA:direct acting antivirals)を用いる.

・肝硬変の有無および程度・残存肝機能・腎機能をよく評価するとともに,感染しているHCVの遺伝子型を考慮に入れて治療薬・治療期間を決定する.

・HCVの排除,すなわち「感染症」としてのC型肝炎の治癒が「疾患」としてのC型慢性肝炎・肝硬変の治癒には当たらないこと,HCVの排除後にもC型肝炎の最大の合併症である肝細胞癌の発生するリスクが持続することに留意が必要である.

◆病態と診断

A病態

・HCV(hepatitis C virus)の持続感染により肝臓の持続的炎症を生じる慢性疾患であり,その結果として肝線維化が生じて進行し,最終的には肝硬変に至る.

・肝線維化の進行に伴い合併症のリスクが高くなる.とりわけ肝線維化が進行して肝硬変になると,肝細胞癌(HCC:hepatocellular carcinoma)の発生リスクは急速に増大する.

・C型慢性肝炎,肝硬変の死亡原因の多くはHCCによるものである.一方で,HCV感染は悪性リンパ腫やマクログロブリン血症など,肝臓以外の疾患の原因にもなりうる.

・抗ウイルス療法によるHCVの排除により多くの症例で肝線維化は緩徐に改善する.

B診断

・HCV感染の診断は血液中のHCV抗体およびPCR法によるHCV-RNAが陽性であることによりなされる.

・セロタイプまたはゲノタイプの測定により,感染しているHCVの遺伝子型が判明する.

・肝線維化の程度の診断は原則として組織診断によるが,最近では非侵襲的な腹部超音波を用いたUSエラストグラフィ,MRI用いたMRエラストグラフィにより高い精度で評価が可能で,侵襲的で出血リ

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