頻度 よくみる
GLNAFLD/NASH診療ガイドライン2020改訂第2版
治療のポイント
・肝線維化進展や肝発癌,心血管疾患の発症抑制を目的とした肥満の是正,合併疾患のコントロールを行う.
・食事・運動療法で体重の7%減量を目指す.
・保険適用薬は現時点でなく,合併疾患に対して薬物療法を行う場合は,NAFLDに与える影響を考慮し,肝病態の改善を目指す.
◆病態と診断
・NAFLDは1日あたりのアルコール摂取量が男性で30g,女性で20g未満の患者に認める脂肪肝である.
・肥満や生活習慣病を背景とするが,アジア人では非肥満のNAFLDが欧米と比較して多く,内臓脂肪蓄積(隠れ肥満)や遺伝的素因に由来すると考えられている.
・肝機能検査で基準値内であるNAFLDが20%ほど存在する.
・NAFLDは肥満者のみならず,糖尿病,脂質異常症,高血圧などの代謝異常を有する症例や体組成計などで体脂肪率が過多である場合,必ず腹部超音波を施行しスクリーニングされなければならない.
・NAFLDと診断された場合,線維化リスク評価を行い,線維化stage 3(高度線維化),stage 4(肝硬変)が疑われるハイリスク症例は専門医へコンサルトを行う.
◆治療方針
A食事療法
肥満を有する場合は,体重の7%の減量を目標にする.また非肥満の場合であっても体脂肪率が高値(男性25%以上,女性30%以上を目安)の場合もこの減少を目指す.食事は介入前のエネルギー摂取量から30%減を目安に指導を開始する.現時点で栄養比率の明確な基準,推奨はないが,炭水化物や脂質の摂取が過剰となっていることが多く,炭水化物50~60%,蛋白質15~20%,脂質20~30%を目安とする.短期間の低カロリー食(900kcal/日),炭水化物制限,脂肪制限などによる脂肪肝改善のエビデンスが存在するが,長期効果は不明である.また飲料や間食で果糖が過剰摂取となっ
関連リンク
- 治療薬マニュアル2023/イプラグリフロジン L-プロリン《スーグラ》
- 治療薬マニュアル2023/セマグルチド(遺伝子組換え)《オゼンピック》
- 治療薬マニュアル2023/アトルバスタチンカルシウム水和物《リピトール》
- 治療薬マニュアル2023/ペマフィブラート《パルモディア》
- 治療薬マニュアル2023/トコフェロールニコチン酸エステル(ニコチン酸dl-α-トコフェロール)《ユベラN》
- 今日の治療指針2023年版/脂質異常症―高LDL-C血症
- 今日の治療指針2023年版/脂質異常症―高TG血症,低HDL-C血症
- 今日の治療指針2023年版/メタボリックシンドローム
- 新臨床内科学 第10版/【5】肥満
- 新臨床内科学 第10版/3 2型糖尿病
- 新臨床内科学 第10版/【2】肥満症とメタボリックシンドローム