頻度 割合みる
ニュートピックス
・新規抗癌剤による薬物性肝障害が増加している.薬物の中間代謝物による一般型の肝障害のみでなく,乳癌に対するホルモン療法やイリノテカンなどによる脂肪肝,オキサリプラチンなどによる肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群(VOD/SOS),免疫チェックポイント阻害薬による自己免疫機序からの肝障害,抗癌剤・免疫抑制薬によるB型肝炎再活性化などが特殊型の薬物性肝障害として認識されるようになっている.
治療のポイント
・起因薬物を可能な限り同定することが重要であるが,最近は多数の薬物を内服している症例も多く,同定のためには開始時期や各薬物の肝障害発生頻度を確認する必要がある.
・処方薬剤のみでなく,サプリメントや市販薬など定期内服していない薬物に関しても確認が必要である.
・治療は起因薬物を中止することであり,肝不全に至る可能性がある重篤な肝障害では最低限必要な薬剤以外中止するが,慢性の軽度肝障害症例においては原疾患治療とのバランスをはかることも求められる.
◆病態と診断
A病態
・薬物性肝障害は一般型と特殊型に分類され,一般型は,中毒性と特異体質性に分類される.
・中毒性は,薬物自体や代謝物が直接肝毒性をもち,アセトアミノフェン大量内服のように用量依存的に再現性をもって肝障害をもたらす.
・臨床的に遭遇する多くは特異体質性であり,薬物の代謝物が結合した担体蛋白に対する免疫反応から肝障害をもたらすアレルギー性特異体質と,薬物代謝や輸送蛋白の個人差により蓄積した代謝物が肝障害をもたらす代謝性特異体質に分類される.
・特殊型は,ニュートピックスで記載した各薬剤特異的な病態である.検査値からAST,ALT上昇主体の肝細胞障害型,ALP,γ-GTP上昇主体の胆汁うっ滞型,両者が上昇する混合型に分類され,原因薬物を推定する際に参考にする.
B診断
・診断には,DDW-J 2004薬物性肝障害ワ
関連リンク
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- 今日の治療指針2023年版/Ⅳ.肝・腎障害時における各種治療薬の投与法
- 新臨床内科学 第10版/ビリルビン代謝と薬物代謝
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