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GL胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版)
GL急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(第3版)
治療のポイント
・日本消化器病学会編集の「胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版)」が,胆石症についての診断と治療の指針を網羅しており,参考にして診療を行う.本項の内容もこれに基づいて記載した.
・胆石症では,胆石による炎症を症状として伴うことも多く,「急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(第3版)」も参考にして,診療を行うことが勧められる.
・胆嚢結石症は,有症状例に胆嚢摘出術を行い,無症状例は経過観察を行う.
・総胆管結石症は,全例に治療が検討され,内視鏡的治療が広く行われている.
・肝内結石症は,病態と治療法が多彩であり,慎重に治療適応を検討する.
◆病態と診断
A病態
・日本での胆石保有率は5%程度とされているが,増加傾向といわれ,2013年の日本胆道学会の調査では,男性が増えている.同調査では,胆嚢結石71%,総胆管結石14%,肝内結石4%と報告されている.
・脂質異常症,食生活習慣,急激なダイエット,胆嚢および腸管の機能低下は,胆嚢結石形成に関連する.
・胆嚢結石症が胆嚢癌のリスク因子となる明らかなエビデンスは今のところないが,胆嚢癌患者では胆嚢結石の合併が高率であり,胆石患者には注意深い胆嚢壁の観察が必要である.一方,肝内結石症は,肝内胆管癌の合併を約4%に認め,肝内胆管癌のリスク因子と考えられている.
B診断
・腹痛,発熱,悪心,嘔吐などの症状では胆石の可能性を念頭に診療する.
・総胆管結石では血液生化学検査で肝機能検査の異常が認められることが多い.
・腹部超音波(US:ultrasonography)は胆石の診断に広く用いられている.
・CT,磁気共鳴胆管膵管撮影(MRCP:magnetic resonance cholangiopancreatography