今日の診療
治療指針

血液浄化法
blood purification
伊藤恭彦
(愛知医科大学教授・腎臓・リウマチ膠原病内科)

ニュートピックス

・血液透析(HD)においては,血清Mg濃度が生命予後,心血管予後,血管石灰化,副甲状腺機能亢進などと密接な関係があることが示され,また透析後の低K血症が生命予後を悪化させることも示されたことから,Mg濃度およびK濃度を高く設定した透析液が登場している.

・腎代替療法においては,近年,協働意思決定(shared decision making)という概念が広がり,医療者と患者が医療のみならず患者の価値観を含め双方の情報を共有し,協働して腎代替療法の選択・決定を下すことが勧められている.

治療のポイント

‍ (慢性腎不全)

・血液透析:半透膜である透析膜を介して,水分,老廃物を除去する方法.通常,1回4時間週3回で維持透析を行う.

・腹膜透析:HDと異なり,24時間かけ腹膜を使い緩徐に体液を整える在宅治療.

‍ (急性腎不全)

・持続血液ろ過透析:ダイアライザー,血液回路を小型化し体外循環量を減らし持続で血液浄化を行う方法.多臓器不全により血圧が維持できず,通常のHDが困難な際に活用される.

‍ (血漿交換)

・病因物質などの除去を目的とし,単純血漿交換,二重ろ過血漿分離交換法,血漿吸着に分けられる.

◆病態と診断

A慢性腎不全

・非可逆的腎障害によって腎代替療法が必要となる.患者生命予後の観点から透析導入を遅らせるべきではないこと,しかしながら早期に導入すればするほど予後がよくなるわけではないとされている.症状が認められない場合でも,糸球体ろ過量(GFR)が6.0mL/分/1.73m2 未満の場合は導入を考慮する.

・適切な時期に,血液透析(HD:hemodialysis)ではブラッドアクセス,腹膜透析ではカテーテル挿入を行って準備をする.

B急性腎不全

・薬物療法でコントロール不能な病態に陥った際,特に高K血症(K6.5 mEq/L以上),代謝性アシドーシス(HCO3- 15mEq/L以

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