今日の診療
治療指針

高血圧性腎障害(腎硬化症,悪性高血圧)
hypertensive renal injury(nephrosclerosis,malignant hypertension)
祖父江理
(香川大学医学部附属病院准教授・腎臓内科)

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GL高血圧治療ガイドライン2019

Ⅰ.腎硬化症

治療のポイント

・食事療法,運動療法を含めた生活指導に加えて降圧薬による血圧コントロールを行う.

・年齢,病態によって降圧目標は異なり,特に高齢者では臓器灌流が落ちないように過度の降圧は避ける.

◆病態と診断

・長年の高血圧に加え,加齢に伴う腎内小動脈の硬化性病変を主とした病態であり,腎病理学的には虚血性変化を中心とする.

・確定診断は腎生検にて小葉間動脈の内膜肥厚,硬化糸球体の増加などにより行われるが,実質的には他腎疾患の除外診断である.腎生検は,血尿を伴うなど非典型例にて腎炎などを否定する際に行われることが多い.

・典型例では10年以上の長期にわたる高血圧歴(白衣高血圧も含む),軽度の蛋白尿を伴う緩徐な腎機能低下を認める.腎機能低下が判明した際には腎萎縮を認めていることも多く,血清学的に免疫疾患であることが否定された場合に臨床的に診断されることも多い.

◆治療方針

 「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」(2023年版策定中),「高血圧診療ガイドライン2019」を参考に降圧目標・降圧薬の選択を行う.

A非薬物療法

 生活習慣の是正による腎障害進展予防のため,療養指導を行う.減塩・肥満の是正・禁煙・運動療法を指導する.減塩目標値は1日3g以上6g未満を指導する.有酸素運動・レジスタンス運動を含めた適度な運動療法も推奨される.

B薬物療法

 降圧目標は140/90mmHg未満とするが,高齢者では忍容性を確認しながら緩徐に降圧する.

Px処方例 下記のいずれかを単剤で用いるか,適宜組み合わせて用いる.

1)オルメサルタン(オルメテック)OD錠 1回20mg 1日1回 朝食後

2)ニフェジピン(アダラート)CR錠 1回20~40mg 1日1回 朝食後

3)インダパミド(ナトリックス)錠 1回1mg 1日1回 朝食後

Px使い分けのポ

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