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治療のポイント
・腎血管性高血圧は,原因が線維筋性異形成か粥状動脈硬化かで経皮的腎動脈形成術の適応が異なる.線維筋性異形成では経皮的腎動脈形成術を積極的に考慮し,粥状動脈硬化では個々の症例に応じて検討する.
・薬物療法はレニン・アンジオテンシン系阻害薬が中心となるが,両側腎動脈狭窄では使用を避け,他剤を用いる.
◆病態と診断
A病態
・腎血管性高血圧(RVH)は腎動脈の狭窄や閉塞による腎灌流量の低下によりレニン分泌が亢進し,2次性のアルドステロン症により高血圧を呈する.
・腎動脈狭窄の原因として若年者では線維筋性異形成(FMD:fibromuscular dysplasia)が,中高年者では粥状硬化性病変が多い.
・治療抵抗性高血圧や腎機能障害の原因として重要である.
B診断
・本症例を疑うきっかけとして,若年発症高血圧,重症高血圧,治療抵抗性高血圧,腹部血管雑音,腎サイズの左右差,レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬開始後の腎機能悪化などが挙げられる.
・診断は画像診断による形態的診断が基本であり,腎動脈超音波,CT血管造影,MR血管造影などが有用である.特に腎動脈超音波は非侵襲的かつ診断能も高く,廉価であることから第1選択となる.しかし検査手技には習熟を要し,肥満や腸管ガスによって腎動脈描出が困難な場合もある.超音波検査が施行できない場合や診断確定が困難な場合はCT血管造影やMR血管造影を考慮する.
◆治療方針
腎血管性高血圧の治療は①降圧薬による薬物療法,②経皮的腎動脈形成術(PTRA:percutaneous transluminal renal angioplasty)または外科的バイパス術による血行再建術,③腎摘の3つがある.特にPTRAを考慮する病態として①FMD,②治療抵抗性高血圧,③増悪する高血圧・悪性高血圧,④原因不明または繰り返す肺水腫・心不全,⑤両側性
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