頻度 〔保存期慢性腎臓病(ND)患者の17%(貧血の定義:Hb値 男性<12g/dL,女性<11g/dL)〕
GL2015年版 日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン(注:日本以外のガイドラインのタイトルはすべて,Anemia in Chronic Kidney Diseaseであり,貧血全体の治療を指すのに対し,日本のガイドラインは,腎性貧血のみが対象である)
ニュートピックス
・遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤,あるいは類似製剤である従来の赤血球造血刺激因子製剤(ESA)に加え,患者自身の腎臓からエリスロポエチン(EPO)の産生を促す低酸素誘導因子分解酵素阻害薬(HIF-PHI)が新たなESAとして市販され,すでに5剤が使用可能である(図).
・本項では,従来のESAをESAと記載し,HIF-PHIと区別する.
治療のポイント
・ESAやHIF-PHIが第1選択薬である.
・Hb値を上げるには多量の鉄が必要となり,鉄剤の併用が必須である.
・目標Hb値は,NDと血液透析(HD)患者で異なる.
・病態の変化に応じ,検査頻度や薬剤使用量の変更を考慮すべきである.
◆病態と診断
A病態
・腎性貧血の主因は,腎臓でのEPOの産生低下に伴う造血障害であるが,EPOの反応性を低下させる合併症や病態も関与している.2008年版のガイドラインでは,インスリン欠乏による糖尿病と同様に,“内分泌疾患”であると明記されている.
B診断
・「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」(2015)を参考に診断を進める.Hb値<11g/dLにもかかわらず,血中EPO濃度が50mIU/mL※ 未満であれば,腎性貧血と診断される(※測定法の変更に伴い,2016年以降は30mIU/mL).
・特に糖尿病性腎臓病や原因不明の老人性貧血とよばれる病態では,糸球体ろ過値(GFR)が高値でも,EPO濃度
関連リンク
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