GL慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン(2012)
ニュートピックス
・血液透析患者では,より厳格な血清P濃度の管理が死亡やイベント発症抑制につながる可能性が報告された.
治療のポイント
・原因,病態および患者背景を考え,それに応じた適切な治療を行うべきである.
・保存期および透析期で病態や治療が多少異なってくる.
・血清マーカーのことのみを考えるのではなく,骨の状態,血管石灰化についても考えることが重要である.
◆病態と診断
A病態
・chronic kidney disease-mineral bone disorder(CKD-MBD)という概念は,腎機能障害が存在する際に,血液検査上のミネラル代謝異常のみならず,骨病変,異所性石灰化,血管石灰化などの異常が出現し,これらが心血管疾患,骨折および生命予後に影響を及ぼすことを考え,提唱されたものである.
・腎機能の低下に伴い,骨ミネラル代謝異常が出現してくる.まずリン利尿ホルモンであるfibroblast growth factor 23(FGF23)が上昇し,次に活性型ビタミンD〔1,25(OH)2Vit.D〕の低下,引き続き,血清副甲状腺ホルモン(PTH:parathyroid hormone)の上昇,そして血清Ca値の低下,最後に血清P値の上昇が認められる.
・腎機能の喪失した透析期では病態が変化し,管理目標値,治療薬剤などが保存期とは異なってくる.
B診断
・血液検査上の異常は,血清Ca値,血清P値,血清PTH濃度の測定により確認する.骨病変の評価では,脊椎のX線,骨密度そして血清や尿中骨代謝マーカーの測定も参考になることがある.血管石灰化の評価は,CT,超音波,脈波伝播速度などの検査で行う.
・保存期において高Ca血症,低P血症および高PTH血症を認めた場合は,原発性副甲状腺機能亢進症を疑う必要がある.また,透析期にお
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