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治療のポイント
・アシドーシスの原因を検索する.
・原病の治療を行うとともに,アシドーシスの程度によりアルカリ化治療を検討する.
・腎機能障害に伴う場合は,急性期・慢性期ともに治療の対象になることが多い.
◆病態と診断
A病態
・代謝性アシドーシスは,血液中のHCO3- が減少する病態のことをいう.酸血症(アシデミア:pH<7.35)を伴うものが,一般的な病的な代謝性アシドーシスである.一方で,アルカレミア(pH>7.45)で存在する代謝性アシドーシスは,代償性のものなのでアシドーシスとしては治療対象ではない.
・HCO3- が減少するメカニズムとして,アニオンギャップ(Na+-Cl--HCO3-=12±2)が正常なものと開大するものがあり,分けて考える.アニオンギャップが正常なものは,腎臓でのHCO3- の漏出(尿細管性アシドーシス)あるいは腸管からの喪失(下痢など)を考え,開大するものは体内に過剰に酸が産生される場合であり,腎不全や乳酸アシドーシス(ショックほか),ケトアシドーシス(糖尿病,アルコール性ほか),さらには外因性物質(サリチル酸ほか)を考える.
B診断
・血液ガス分析を行い,pHが低下していて,HCO3- が減少している(しばしば23mEq/L未満)場合に代謝性アシドーシスと診断する.
・代謝性アシドーシスの診断には,その原因を含めた検索が必須である.
◆治療方針
1)まず,可能な限り原因疾患に対する治療を行う.
2)急性・慢性に分けて治療方針を決める.
A急性代謝性アシドーシス
pH7.1未満の重症症例では,炭酸水素Na治療を行う.急性腎障害による症例では,pH7.1~7.2の中等症に対しても同治療を検討する.原病の治療により酸産生率を低下させることが,大量の炭酸水素Naを用いる治療よりも重要である.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)炭酸水素ナトリウム(メイロン薬