頻度 よくみる
◆病態と診断
A病態
・血液中(細胞外液中)の重炭酸イオン(HCO3-)濃度が高い病態である.
・HCO3- 濃度は細胞外液中のHCO3- の総量(分子)を細胞外液量(分母)で割ったものであるので,HCO3- の蓄積(分子が大きい)あるいは細胞外液量低下(分母が小さい)により代謝性アルカローシスが生じる.
・臨床上問題となる代謝性アルカローシスを呈する病態の多くは高用量の利尿薬(ループ・サイアザイド)使用,嘔吐や下痢などによるKやClイオンを多く含む体液の喪失である.頻度はより少ないが,ミネラルコルチコイド作用亢進(例えば原発性アルドステロン症やグリチルリチン製剤による偽性アルドステロン症など)でも高度となりうる.
・腎機能低下患者ではアルカリ投与(重炭酸Naのほか,Ca・Mg製剤や輸血製剤など)でも高度代謝性アルカローシスを呈しうる.
・腎不全や高度体液量欠乏では尿HCO3- 排泄不全により,代謝性アルカローシスが維持されやすい.一方,ミネラルコルチコイド作用亢進の病態では,尿中HCO3- の再吸収亢進により,代謝性アルカローシスが維持される.
・高度代謝性アルカローシスではその原因疾患の病態に加えて,代謝性アルカローシスによるKの細胞内移行や尿中排泄亢進(HCO3- による尿陰性荷電増加による)により,K欠乏(やMg欠乏)を合併しやすい.
・高度アルカレミアの合併症として臨床上問題となるのは,低K血症(や低Mg血症)などの電解質異常やその副次的作用(不整脈など)のほか,血管収縮作用による臓器虚血(心・脳),けいれん,そして代償性低換気などである.低換気は重症例ではCO2 ナルコーシスや低酸素血症をきたす程度まで重症化しうる.このような症候性代謝性アルカローシスはpH>7.50で40%程度,>7.60で60%程度に認める.
B診断
・基本的には血液ガスによるHCO3- の測定(
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