今日の診療
治療指針

急性骨髄性白血病
acute myeloid leukemia(AML)
藤田浩之
(済生会横浜市南部病院・血液内科主任部長)

頻度 あまりみない

GL造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版

ニュートピックス

・BCL-2阻害薬であるベネトクラクスがAMLに対して保険適用追加となった.強力な寛解導入の適応とならないAMLの症例に対して,ベネトクラクスは,アザシチジンもしくは少量シタラビンとの併用のもと投与される.

・アザシチジン単独療法がAMLに適応追加された.

治療のポイント

・年齢,主要臓器機能,合併症を評価したうえで,強力化学療法に適応(fit)または不適応(unfit)を判断する.

・65歳未満でfitであれば,強力化学療法の適応となる.

・65歳以上で,強力化学療法の施行が困難と考えられる場合は,ベネトクラクスとアザシチジンの併用療法が第1選択となる.

・主要臓器機能もしくは全身状態が不良の場合は,アザシチジン単独療法,シタラビン少量療法,輸血療法を中心とした支持療法などを行う.

・急性前骨髄球性白血病(APL)の寛解導入療法中は,DICによる出血症状,分化症候群の発症に注意する.

◆病態と診断

A病態

・急性骨髄性白血病(AML)は,分化・成熟能が障害された骨髄性前駆細胞のクローナルな自律性増殖を特徴とする多様性に富んだ造血器腫瘍である.

・骨髄系前駆細胞に細胞増殖や細胞分化にかかわる遺伝子変異が蓄積することにより発症すると考えられている.

・骨髄におけるAML細胞の異常増殖により正常造血は阻害され,造血3系統(白血球・赤血球・血小板)は減少し,感染症状・貧血症状・出血症状がみられる.

・AML細胞は,皮膚・歯肉・肝臓・脾臓・中枢神経系など各種臓器に浸潤することがあり,その際は各臓器症状がみられる.

B診断

・上記症状および末梢血の異常より急性白血病を疑い,骨髄検査を行う.

・骨髄塗抹標本において20%以上の芽球の存在で急性白血病と診断し,芽球の3%以上がミエロペルオキシダーゼ染色陽性,あるいは骨髄系細胞分化抗原の発現

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