頻度 あまりみない
GL造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版
治療のポイント
・治療の目標は,血栓・出血イベントの予防である.
・血栓・出血のリスクに応じて,抗血小板薬および細胞減少治療を選択する.
・脂質異常症や糖尿病,高血圧などの心血管リスクの併存は,血栓リスクを増加させるので適切に管理する.
◆病態と診断
A病態
・本態性血小板血症は,骨髄増殖性腫瘍の一病型であり,造血幹細胞に生じた遺伝子変異のために,骨髄系細胞の過剰な増殖とそれに伴う血小板の過剰な産生を特徴とする疾患である.
・本態性血小板血症を引き起こすドライバー遺伝子異常としては,JAK2V617F変異(約50%),Calreticulin遺伝子変異(約20~30%)およびMPL遺伝子変異(約10%)がある.遺伝子変異のタイプにより,血栓リスクや骨髄線維症などへの進行リスクが異なる.
B診断
・診断基準としては,WHO分類第4版に従うことが一般的である.
・末梢血血液検査における血小板数増加(45万/μL以上),ドライバー遺伝子変異の有無および骨髄生検所見に基づいて診断を行う.
・ドライバー遺伝子変異は,末梢血検体を用いて解析可能である.
・骨髄生検は,骨髄線維症や真性赤血球増加症との鑑別を行うためにも必須である.
◆治療方針
本態性血小板血症の治療の目的は,血栓症および出血の合併を予防することである.年齢,遺伝子変異のタイプおよび血栓・出血の既往歴の有無に基づいて,リスクを評価して治療方針を決定する.
60歳未満で血栓・出血合併症の既往がなければ,低リスクとする.低リスク群のなかでも,JAK2V617F遺伝子変異を有する場合や心血管リスクのある場合には抗血小板療法を行う.一方,Calreticulin遺伝子変異を有する低リスク症例では,抗血小板薬の一律の使用は推奨されていない.60歳以上または若年でも血栓・出血の既往がある場合には
関連リンク
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