頻度 (日本における発症頻度は,全リンパ系腫瘍の1.4%とまれな疾患である)
GL造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版補訂版
治療のポイント
・発病初期は無症状で,健康診断などの血液検査で白血球増加を指摘され診断されることが多い.
・病気の進行が遅く,治療を行わなくても日常生活への影響は少ない.また薬物療法で治癒は期待できない.そのため病状をコントロールして通常の生活を送ることを目標に治療を行う.
・イブルチニブやベネトクラクスなど分子標的薬治療が導入され,治療成績が著しく向上している.
◆病態と診断
A病態
・末梢血中に成熟Bリンパ球が増加する疾患である.
・50歳以上の高齢者に多く発症する.
・進行するとリンパ節腫脹や肝脾腫が現れ,血球減少をきたす.熱や寝汗,体重減少などの全身症状を伴うことがある.
・自己免疫性溶血性貧血など,自己免疫性疾患を併発することがある.
・治療が奏効しても再発を繰り返し,薬物療法で治癒は望めない.
・経過中に年0.5~1%の頻度で,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫もしくはホジキンリンパ腫に形質転換(Richter症候群)する.
B診断
・末梢血のリンパ球数が5,000/μL以上.
・フローサイトメトリー検査で,CLL細胞はCD5,CD19,CD23が陽性,CD20が弱陽性.κもしくはλの発現に偏り(Bリンパ球のクローナリティ)が認められる.
・末梢血のFISH(fluorescence in situ hybridization)検査で,CLL細胞に17p欠失が認められる場合は,予後不良である.
・末梢血中にリンパ球が増加する鑑別疾患として,前リンパ球性白血病(PLL:prolymphocytic leukemia)では大型で胞体が広く明瞭な核小体をもつ前リンパ球が増加し,CD5が陰性.有毛細胞白血病(HCL:hairy cell leukemia)では胞体が比較的広く細胞周